ホーム > X-Plus > XML Square

出版業界におけるXML


パブリッシングコーナー:出版業界におけるXML

出版業界におけるXML
書籍の電子化におけるOpen eBookの役割
(株)日本ユニテック 安藤 理絵
概要

この記事は、電子書籍についての最近の動きを含め、電子書籍が幅広く普及するために必要な共通フォーマット「Open eBook initiative」について紹介しています。

書籍の電子化

人は、なんのために本を読むのか。それは、ある人にとっては、知識を得るため、また別の人にとっては、楽しみのため、息抜きのための大切な一時かもしれない。だが、忙しい現代人にとって、家でゆったりとくつろぎながら本を開く、という時間を持つのは時として難しく思える。
時間を有効に利用するために電車やバスの中で読書をしている人はたくさんいる。小説、参考書、雑誌、マンガなど、その種類はさまざまなものがあり、その大きさ、厚さについても同じことが言える。本によっては1~2冊でも結構な重さになる。大きさや重さのために携帯に適さない本もある。
これまで、何世紀も人々に愛され、親しまれてきた紙の本とは別に、より現代人の生活様式に合った電子書籍なるものが登場した。それはスピード、軽さ、カスタマイズ性などの分野で存分に力を発揮するものとして期待されている。私たちはそれぞれの良さ、特徴をつかみ、自分のスタイルに合わせてどちらかを選択することができる。
ここでは、書籍が電子的な媒体として発展するためには何が必要なのか、またその必要に応じて世の中がどのように進展しているのか、さらにその中でのXMLの役割についてお伝えする。

eBook とは何か?

「eBook」という言葉を聞いたことがあるかもしれない。ひとえに「eBook」といっても、人によってとらえ方はさまざまである。ある人にとっては、eBook とは読む内容のこと、紙でないデジタル版の本や記事や文書を意味する。またある人にとっては、eBook とは読むもののこと、デスクトップやポータブルやパームサイズのコンピュータや電子書籍を読むために作られた専用のリーダーなどのことである。

<紙媒体の本と比較した eBookの長所>
  • 広い選択肢と入手の手軽さ
    新しいタイトルはもちろん、在庫にあるタイトルや品切れのタイトルもすぐに手に入る。
    自宅にインターネットさえつながっていれば、その場で欲しい本を探し出し、購入することができる。何件も本屋を探し回る必要も、閉店時間を気にしてあせることもない。
  • 検索性
    特定の用語、定義、その他の関連情報を探すことができる。
  • カスタマイズ性
    快適な読書のために、コントラスト、フォントのサイズやスタイルを調整できる。 色やフォントを変えて、自分だけの1冊を作ることも可能になる。
  • 重さと大きさ
    小さな電子書籍リーダーの中にたくさんの書籍を入れて持ち運ぶことができる。本を一冊追加しても鞄が重くなることはない。
電子書籍には何が必要か

米国では98年後半から電子書籍の商品化が本格化し、電子書籍リーダーの販売も始まった。しかし開発した会社ごとに独自の仕様を採用しているため、米マイクロソフトが98年10月、どの会社のリーダーでもどの出版社の電子書籍でも読めるようにするための電子書籍規格、オープンeブックの策定を宣言した。それは電子書籍のファイルフォーマットと構造をXMLという標準に基づいて構築するものである。マイクロソフトの呼びかけに対し、既に電子書籍リーダーを発売している米国のヌーボメディアやソフトブック・プレス、グラスブックや、出版社などが参加して、オープンeブックの草案をまとめ、99年5月、グループのメンバーに公表し、最終的な取りまとめに入っていた。

Open e-bookとは何か?

1998年10月 Open eBook initiative発足
1999年9月21日 電子書籍規格「オープンeブック」の最終仕様、
「Open eBook Publication Structure 1.0」を発表
(仕様はオープン e ブック・ウェブサイトで入手可能)

スポンサー : National Institute of Standards and Technology(NIST)
「Open eBook Publication Structure」は電子書籍のファイルフォーマットと構造を定めている。


特徴 : ・ 使い慣れたHTMLの概念を取り入れつつ、文法的にはXMLを採用。
・ 非独占的でオープンなフォーマット。
・ 仕様の入手、使用の際の費用や料金などは無料。
・ PDFをOpen eBook出版物に埋め込むことができる。
(ただし、PDFをサポートしない読書システムの為にそのコンテンツの代替表示となるものを持たせなくてはならない。Open eBook の読書システムは、PDFもその他の非Open eBook フォーマットもサポートを義務付けられてはいない。)
・障害のある方にもコンテンツが利用できるような機能。
W3Cの HTML 4.0 仕様やWeb Accessibility Initiative の「Web Content Authoring Guidelines」勧告案と同等のアクセシビリティ機能がこの仕様には取り入れられている。
目 的 : 出版社や著者が単一のフォーマットで著作物を配布することができる。
注目に値するようなコンテンツを大量に、かつすばやく作成できる。
可能性 : 電子出版物の増加に加速がつくことが期待

あらゆるOEB出版物はどんな読書システムででも表示できる。
そのためにはOpen eBookの仕様(バージョン1)に準拠して文書を作成し、OEB準拠のデバイスで文書を表示する必要がある。
仕様に準拠した読書システムは、最低でも XML、CSS、JPEG、PNGファイルは必ずサポートしている必要がある。OEB出版物は、この他の種類のファイル(QuickTimeムービーなど)も含むことができる。ただし、これらのファイルに対しては必ず必須のフォーマット(例えばJPEG)での代替版を用意しなければならない。そして、特定の読書システムを使ったときにだけ見えるようなものを含めることもできる。

海外事例

<アメリカ>

Microsoft (マイクロソフト) :
Microsoft Reader
のデータフォーマットの基としてOEBを使用。

SoftBook Press Inc. (ソフトブック・プレス) :
全製品がOEB新規格に対応。(新仕様は既存の電子書籍リーダーでも利用できるように設計)

NuvoMedia (ヌーボメディア) :
電子書籍デバイスの販売、タイトルの流通。
NuvoMediaの Rocket eBookはHTMLベースのコンテンツとWebベースの安全な配信システムを使用。XMLベースの仕様によって、出版社はより豊富で面白いコンテンツをRocket eBookや他の読書デバイスへ提供することが可能。

<SoftBook> <NuvoMedia's RocketBook>


日本での動き

・Microsoft Readerの日本語対応

Readerのデータフォーマットの基となる、Open eBook(OEB)の2.0仕様が策定された後、Readerも日本語対応となる。OEB 2.0には、縦書き、ルビなども入る予定。

日本からはイーストがオープンeブックに参加している。

・紀伊國屋書店とマイクロソフトが電子書籍(「eBook」)事業で提携

株式会社紀伊國屋書店とマイクロソフトコーポレーション(以下:マイクロソフト)は、マイクロソフトの開発、提供している電子書籍ソフトウェア「Microsoft Reader」を日本国内のユーザーに販売するにあたり、共同で事業推進を行うことになった。
今回の事業提携により、紀伊國屋書店はマイクロソフトよりデジタルコンテンツ テクノロジー(DAS=デジタル・アセット・サーバー)の提供を受け、「BookWeb」にDASサーバーを組み込む。これにより「BookWeb」上に「eBook店舗」が新たに誕生し、来春には英語版の電子書籍が、続いて日本語版の電子書籍が「BookWeb」上で販売されることとなる。
ユーザーは、パソコンに「Microsoft Reader」をダウンロードして電子書籍の購入/閲覧を行う。今後、ハードウェアメーカーからの電子書籍専用端末の提供、および紀伊國屋書店店頭でのキオスク端末による「Microsoft Reader」タイトルの販売も検討中である。
現在、欧米の大手出版社が「Microsoft Reader」に対応したコンテンツ提供を表明しており、また日本国内においては、大手出版社の株式会社 角川書店がコンテンツ提供を表明している。今後、他の出版社へ参加を呼びかけていく予定である。

<電子書籍のこれから>
21世紀を迎え、日本国内でも徐々に電子書籍に対する期待が高まっている。そして期待だけにとどまらず、書籍の新たな販売/流通形態、また新たな読書スタイルは実現し、普及していくだろう。それは、XMLという共通の土台の上に築かれる産物になるに違いない。近い将来に「読書」という言葉からイメージするのは、紙の書籍を読んでいる姿だけではなく、パソコンや電子書籍を駆使した姿が新たに加わっているかもしれない。

<参照URL>
http://www.openebook.org/
http://www.est.co.jp/ks/dish/openebook/
http://www.kinokuniya.co.jp/w_new/index.htm
http://www.mainichi.co.jp/digital/computing/archive/199909/22/3.html
http://www.est.co.jp/ks/dish/99043jepa/

ページトップへ戻る